Die Frau ohne Schatten @ 新国立劇場オペラ
新国立劇場でオペラ「影のない女」を観た。初めてのオペラなので予めあらすじだけはざっと頭に入れておいた。日本で本公演されるのは実に18年ぶり、あまり観るチャンスがないオペラだけに興味深い。Rシュトラウスがモーツアルトのオペラ『魔笛』から着想したというから、ファンタジックなオペラと思いきや、いやはやなんとも重厚で奥深ーいオペラであった。オペラ初心者にはやや難解か?
皇帝と結婚し、皇后(霊界王の娘)には影がない
3日以内に影を得られないと皇帝は石になってしまう。
乳母と皇后は影を得るために人間界に降りてゆく。
染物師バラクの妻はほとほと生活に疲れている。
そんなバラクの妻に目をつけた乳母は彼女から影を奪おうとする。
しかし良心の呵責に苛まされ心を痛める皇后
天上と地上を行き来しながら葛藤するが影をあきらめる。
試練を乗り越えた後に全ては救われ皇后に影が生まれめでたしの巻。
ここで「影」というのは「子供」を象徴している。つまり「影のない女」とは子供を産めない女ということである。一面的には皇帝と皇后、バラク夫妻、二組の夫婦愛の物語のようであるが、じつは皇后は自らの欲望を諦めて人間愛に目覚めたというメッセージが込められているのだ。
現代ではあたりまえのことに思えるが、作品が作られた20世紀初頭というのは庶民が権力に抵抗できない時代だった。そんな時代背景を考え合わせると、この作品の反体制的なメッセージが汲み取れる。当時としてはかなり過激なオペラだったということが想像できる。
舞台演出はというと、いまひとつ私の感性に訴えかけるものはなく些か不満は残るが、そこはRシュトラウスの重厚かつ盤石な音楽と二人のソプラノ(皇后とバラクの妻)とメゾ(乳母)の迫力ある歌唱がすべてをカバーできたと思う。若くてイケメンなバラク役・ラルフ・ルーカスのバリトンも冴えていた。ラストの二重唱、四重唱に至ってはRシュトラウスworld全開。「薔薇の騎士」のラストを彷彿とする素晴らしいシーンだった。
早速、過去上演のDVDを買い込んでもっと理解を深めようと思ったのだが、DVD化されているものはわずかな上に日本語字幕版などどこにも見当たらない。仕方なくやっと見つけた輸入版「ショルティ指揮1992年ザルツブルグ音楽祭」英語字幕版を購入した。しかし、な、なんと字幕なしだったぁ~ ドイツ語わかりませーん。 確かにパッケージにはちゃんと Menu screens(English)と書いてある、どういうことよ? おーらら!
by 5-saturn
| 2010-06-13 11:38
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