Met HD ライブ・ビューイング 「アンナ・ボレーナ」
南仏旅紀行の途中ですが、先日観たライブビューイングのことを・・・
メト・ライブビューイング、2011-2012シーズンの幕開けは、メトの女王ネトレプコがタイトロールをつとめるドニゼッティ作曲「アンナ・ボレーナ」、ドニゼッティのズバリ女王もの3部作のひとつである。ちなみに他2作は「マリア・ストゥアルダ」と「ロベルトデヴリュー」
お話は16世紀英国王ヘンリー8世の王妃アン・ブーリンの悲劇を描いた史実に基づくもので、あのマリア・カラスが復活させた演目というからドラマ性も大いに盛り上がる。125年の歴史を誇るメトでさえなんと今回が初演だというから、如何に高難度の演目かということがよくわかる。当代ベルカントの女王といわれるネトレプコの出現で実現した演目といえるだろう。プレミエということもあったのか、冒頭いきなりゲルブ総裁によるネトレプコへのインタビューがあり、並々ならぬ意気込みが感じられた。
ネトレプコは3年前に出産してからというもの以前にも増して意欲満々、順風満帆、もはや押しも押されもしない当代きってのソプラノに上り詰めた。体型も更に更にふくよかに・・・それに伴って声質も変化しているようにみえる。まろやかになったというか、シャープさに欠けるともいえる。年とともに声帯も老化するので声質が変わるのは当然といえば当然。といってもまだ40才だが些か不満が残った。
まわりを固める歌手陣も実力派ばかりでボレーナと相対する恋敵ジョヴァンナはエカテリーナ・グヴァノバ(MS)、先般メト来日の時は「ドンカルロ」でエボリ公女を熱演した実力あるメゾ・ソプラノだ。実は今回、グヴァノヴァはガランチャの降板(懐妊による)による代役だったが、圧倒的な歌唱と演技は観客の期待を裏切るほど大満足のパーフォーマンスだった。素顔は若くて可愛い女性なのに役に扮するとまるで別人、存在感は群を抜いている。ネトレプコの貫禄に全くひけを取っていない。これから注目したい。
セットは暗めで豪華さに欠けるがシンプルで好感が持てる。しかし衣装の時代考証はさすがメト、16世紀半ばの文献を調査、検証して再現したという衣装担当J・ティラマーニの見事な仕事、思わず「いい仕事してますね!」と言いたくなるほど細部に至るまで繊細で素晴らしい。そして衣裳部屋まで覗けるのがライブ・ビューイングならではだ。次作「ドン・ジョヴァンニ」のクヴィエチェンも顔を出して番宣ならぬ演宣していた。
次の「ドン・ジョヴァンニ」が楽しみだ!
by 5-saturn
| 2011-11-19 15:51
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