オリジナル版 ♬オペラ『トゥーランドット』
先日ミュンヘン、バイエルン歌劇場で観た
オペラ『トゥーランドット』の追記です。
ソプラノのニーナ・ステンメ(トゥーランドット姫)と肩を並べるほど素晴らしかったのが、カラフの召使リュウを演じたソプラノのマリア・アグレスタ。
同じソプラノでも、前者は力強い、ドラマチックな声が要求され、一方後者は美しいリリカルな声が要求される難役だ。
このオペラのタイトルロールは勿論、圧倒的な存在のトゥーランドット姫なのですが、重要な役を担うのが自己犠牲でカラフを救ったリュウの存在なのです。
命を賭けてカラフを慕うリュウの有名なアリアが二曲あり、情感たっぷりに切々と歌うアグレスタのリリカルな歌唱は胸にグッと迫るものがありました。
もともと原作にはリュウは登場しないのですが、プッチーニ自身が付け加えたと言われています。
この作品はプッチーニの未完の遺作です。3幕の最終シーン、トゥーランドット姫とカラフのデュエット以降は補作されています。現在公演されているのは殆どが補作版なので、私自身補作版しか観たことがありません。
ところが、今回の演出はなんとプッチーニの遺作に忠実な(短い)バージョンだったのです。
リュウの自害の場面で静かに幕が下りてしまいました。
普通ならブラボーの拍手喝釆が起きるはずの観客席は
しーん!
「えっ!ここで終わりなの?」
「まだ続くんでしょう?」
みたいな・・・
すると
幕が上がりカーテンコールが始まった。
やっと事態が呑み込めた観客席からは疎らに拍手が鳴り始めました。
3Dを駆使した派手な演出とは裏腹にラストは尻切れトンボの感は否めない。
オリジナルに忠実なパーフォーマンスを否定する積りはありませんが、物語の辻褄から言えば補作版(現在のスタンダード)の方がしっくり行くと思いますね。
by 5-saturn
| 2016-08-09 10:42
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