ディベルティメント「音楽の冗談」
モーツアルト31歳の時に作曲したディベルティメントK522「音楽の冗談」という作品があります。このタイトルはモーツアルト自身が付けたものですが、時に副題として「村の楽士の六重奏」などともいわれています。4楽章構成ながら演奏時間は20分足らずの短いものなのですが・・・・
初めてこの曲を聴いた時、「エッ、ナ、ナニコレ・・・失敗作なの、それとも演奏失敗なの?」あまりのおちゃらけな演奏に思わず笑ってしまいました。クラッシックを聴いて泣けたり、楽しい気分になったりはしますが笑ったのは初めてのこと。実はタイトルどおり、モーツァルトのちょっとした冗談だったのです。。。
<ザルツブルグ・2003/Sep>
モーツアルトが活躍していた1780年頃のザルツブルグでは素人オーケストラ集団が流行していました。この冗談曲は当時、一端の音楽家、作曲家気取りする素人に対する一種の揶揄、パロディーだったのです。「才能のないあんたたちが作曲、演奏しても所詮こんなものよ」と皮肉たッぷりに茶化しているようにも思えます。
「ドドド、レレレ、ミファソファミレド、ドド・・・」単純な音階とフーガ、挙句の果てコーダの和音に至ってはもの凄い不協和音で終止します。しかし崩れていながらも立派なディベルティメントに仕立てられた絶妙のバランス感覚。さすが天才モーツアルトのやることは違います。
映画「アマデウス」でこれに似たような場面がありました。時の皇帝ヨーゼフ2世の前でサリエリが自作の曲を御前演奏をしているところに居合わせたモーツアルトが、こうすればもっといい曲になるよ、とばかりにサラサラと編曲して見事な曲に変えてしまいました。勝ち誇ったような独特の甲高い声で「ハハッ、ハハッ、ハハッ、ハ」とサリエリを嘲笑した場面がとても印象的でした。この時出来た曲がオペラ「フィガロの結婚」のアリア「もう飛ぶまいぞこの蝶々」でしたね。このことで皇帝はすっかりモーツアルトの才能に惚れ込んでしまいます。
一般人であればなんて嫌味な男なんだ、ということになりますが、純粋で無垢な心の持ち主、神が遣わした天使であろうモーツアルトだから好意的に語られることかもしれません。しかし皇帝の目の前で恥をかかされたサリエリのプライドはもうズタズタです。憎悪を募らせていくのも当然のことかもしれません。
変り種ディベルティメント、機会があれば是非、ライブ演奏を聴いてみたいもの。。。ウケルこと間違いないデス。
by 5-saturn
| 2006-03-10 20:51
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